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小説「ふしだらな妄想」(24)余韻 [小説]

それからさらに数分後、空を埋め尽くしていたハトたちはやっとそれぞれの方向へ散って行った。
 と同時に理性を取り戻した私は、やっとの思いで腕の力を取り戻して自分の体をささえ、腰を後ろにひいてレイコの体から自分のモノを引き抜いた。それまで気を失ったように快感の余韻に浸っていたレイコは「ウッ」と声をあげると目を覚ました。

「・・・課長・・・スゴク良かった・・・。こんなの初めてです・・・。課長のコレで自分がこんなになっちゃうなんて・・・これが本当のSEXなんですね・・・。」
 レイコは自分の内部から引き抜かれたばかりでまだ濡れている私のペニスを愛しそうに撫で回した。

私はレイコの頭を引き寄せ彼女の乱れた髪を手櫛で整え、そこにキスをしながら言った。
「・・・ああ・・・私だって初めてだ。こんな素晴らしいSEXは・・・。君は最高だ・・・。」
「・・・わたし・・ずっとこのまま課長とこうしていたい・・・。」
「私だってそうさ。君といつまでもこうしていられたらどんなに幸せだろう・・。」

 二人はそれからしばらくの間、ベッドの上で裸のまま抱き合い、お互いの唇を求め合った。

「あの・・・課長・・。」レイコが少し不安そうな表情で言った。
「・・・課長とこんなことしてもし妊娠でもしたら・・・。」

「大丈夫さ・・・。」私はレイコの不安を完全に拭い去ってやった。
「私は結婚しても子供は出来なかった・・・。なかなか出来ないので妻は不妊治療に通ってわかったんだが妻はに子供を作る能力がなかったんだ。」

 妻の話を持ち出され、レイコは複雑な表情をみせた。

「検査結果を知らされたとき 彼女は自分は妻として失格だから離婚してもいいと泣きながら言ったよ。・・・確かに子供は欲しかったが、私は妻とは別れなかった。」
「奥さんを愛してらっしゃるのですね・・・。」レイコはこちらを見ずにいった。
「・・・まぁ そういうことかな・・・。私は自分の決意を妻に示すためにすぐにパイプカットの手術を受けた。もう子供は望まないって・・・。だから君も妊娠することは絶対にない。」
「・・・・。」

 あいかわらずレイコはこちらを見ない・・・。なんだかおかしなことになってきたぞ・・・。SEXの快感が遠のくにつれて理性を取り戻して来たようだ。夢中で快感をむさぼっていたときには忘れていた自分の夫や子供に対して罪の意識が芽生えてきたらしい・・・。

「後悔してるのか・・・。」
「・・・いえ・・・でも・・・。」
彼女の言葉とは裏腹にその表情は明らかに「不倫」という大罪を悔いているようだ。二人は黙ったまま服をつけ始めた。
 
 ある朝道路の渋滞のため私は車を横道に入れ、その時偶然レイコと出会った・・・。初めは遠くからその美しい顔を眺めるだけだったが、景品として手に入れた「魔法の書」に書かれてあった心縛法の効果がまやかしではなく本物だと知ったときから私とレイコの関係は急速に深まった。そして今日、ついにその大望をはたした。しかし、これ一回きりとはあまりに惜しい・・・。これは何とかしなくては・・・。


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